内蔵助カールを滑る

真砂岳から黒部川(山行管理番号#2006017)
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真砂岳から後立山

  四方(CL)、石川(SL)、
  宇津野、池田、 中西、伊藤

 今年は雪が多かった。そのため残雪も豊富に残った。
 ここ数年立山は天気やら雪やら外れが多かったが、豊富な雪を目当てに天気予報とにらめっこして、この日を選んだ。本当ならもう少し早い方が良いのだが、「週末=雨」のパターンに祟られて21日まで出かけられなかった。
 内蔵助カールの滑降は何年も前から夢にまで見たとおり、楽しかった。カール底から左の大斜面に出たかったのだが、初めてなので状況が分からず、そのままカール下のノドを滑ってしまった。(トラバースしなくてはならないことは地図を見て分かったのだが、上からはブッシュしか見えなかった。藪の濃さが分からなかったので、トラバースせずにそのまま下ったのだった)
 内蔵助平は巨大なデブリで埋まっていた。滑りにくくて大変だった。
 しかし、本当に大変だったのは、内蔵助谷だった。デブリとクレバス、そしてスノーブリッジとブッシュ…スノーブリッジやクレバスギリギリをブッシュに掴まりながら急斜面をトラバースしたり下りたり(時には登ったり)。
 黒部川の出合までは生きた心地もしない程辛かった。
 黒部川の出合に着いて、
「やれやれ」と、思ったのもつかの間。
 夏道はデブリに殆ど埋まってしまっていて、またスノーブリッジの恐怖にさらされながら黒部川を埋めたデブリの中を黒四ダムまで延々と歩くのだった。
 最後のダムへの登りは、夏道はつづら折れのハズが、只ひたすら直登。疲れ切った体に鞭打ち、最終バス目指して登った。

 久しぶりにハードな山行だった。
 何とか無事に下山できたので、充実感もひとしおではあった。。。

 写真:四方
 記録:四方

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5月21日(Sun)【快晴】

 前夜に名古屋を発って、扇沢の駐車場にテントを張って仮眠した。
 計算通り、天気は上々。就寝は遅かったのに早く目が覚めてしまった。
 一番のトロリーに乗って室堂へ。扇沢を7時30分に乗ったのに、室堂バスターミナルへ着いたのは9時25分。定刻ではあるが、延々2時間の乗車と待ちあわせで疲れてしまった。

黒部平からのタンボ平。
下部はデブリで埋まっているが、雪は確かに多い。
赤牛、水晶。そして東沢が遠い

 ともかく出発。シール着脱の時間が惜しいので、室堂山荘の前までツボで歩いた。まずは雷鳥平まで一滑り。太陽に晒された雪は充分緩んでいて滑りやすい。あっという間に着いてしまった。

今回も立山は快晴。中央の尾根が大走り。稜線のピークが真砂岳。あそこまで登るのだ。
思い思いに一滑り
春の雪に細・革で挑む

 雷鳥平でシールを貼り、登行の準備。ここから辛い2時間の大走りの登りが待っていた。
 何度登っても大走りの登りは辛い。この日は雪が柔らかいので、斜度と高度の恐怖感は無かったが。
 それでも快調なベースで登った。2時間程で真砂岳の山頂に着いた。稜線は相変わらず風が強かった。でもいつもに比べれば、今回はそんなに強風と、言う程でもなかった。

ともかく登る
大走りの上から見下ろした室堂平。
航空写真を見ている様だ。
やっと着いた。いよいよ楽しい滑降が始まる。

 さあ、いよいよ夢の内蔵助カール。雪庇の間からドロップイン。
 広い広い、どこを滑ったらいいのか迷ってしまう程。一息にカール尻まで降りてしまった。
 左の斜面にトラバースしようとしてみたが、もうカールの周辺は雪が消えてブッシュにぐるりと取り囲まれていた。
 カール尻からのノドは上から見ると、真っ逆さまに落ち込んでいる様に見えるが、斜めに覗いてみたらそれ程でもなかった。今日は雪も柔らかいし、雪崩の心配も無さそうなので、降りることにした。
 「止まるな、スキーを横にするな!」と、心の中で言いながら滑るが、 高度が下がるに従って雪は重くなり、足への負担も大きくなる。
 どうしても、ターンが続かない。それでも何とかノドを抜けて、デブリの間の台地に出た。
 それでも、ここまでは一応雪面を滑ってきた。しかし内蔵助平は一面デブリで埋め尽くされていた。巨大なブルドーザーで雪山をかき回した様な異様な景色だった。内蔵助平からはそのデブリの中を行かなければならない。雪が緩んでいるのが幸いだ。それでもスキーがデブリに取られてままならない。
 内蔵助平は奥黒部のそのまた奥、静かな秘境・別天地だ。特に秋、紅葉の時期は素晴らしい。時間が許すなら、いつまでもここで紅葉と山を眺めていたいと思う様な所だ。僕は以前、秋にここを訪れて、スキーで来てみたいと思ったのだ。雪の内蔵助平もそんな美しい場所だが、ブルドーザーの跡だけは、頂けなかった。それに今日は時間の余裕もあまり無い。残念ながら、写真を一枚だけ撮って先を急いだ。
 だが、内蔵助平から内蔵助谷に降りていく所で進退窮まった。左岸は切り立った岩場で問題外だが、右岸もブッシュと急斜面に着いた残雪だけ。足下には内蔵助谷の奔流が轟々と音を立てて流れている。とても一人では降りる気になれない。Uにツボで降りて貰うことにして、ザイルを出してピッケルを頼りにビレイした。幸い悪場は短かった。10m程だっただろうか。ザイルをフィックスして、ゴボウで降りることにした。
 フィックス地点まで、
「絶対に転ばずに降りて来い!」
と、言うが、皆(そう言うからいけないのか?)滑落しそうになったりして、怪しく降りてくる。怖がらなければ一瞬なのだが。。。 ここで、滑ったら沢の中に真っ逆さま。スノーブリッジの中に流されたら生きては出てこれない。危険な所での確実なスキー操作を練習する必要性を感じた。
 幸いその先は、ザイルを固定する程の所もなく、ブッシュに掴まって降りたりはしたものの、何とか下ることができた。でも、黒部川出合の手前で、デブリの迷路にはまってしまった。仕方なく、スキーを脱いでここからは歩くことにした。スノーブリッジの端から、岩に飛び移ったり、スキーを担いで岩登りをしたり、アクロバティックな最後だった。
 黒部川の出合からも相変わらずデブリ歩きではあったが、 まだデブリはしっかりしていて、先行パーティのトレースを頼りに、ダム下まで歩いた。この1ピッチは思いの外長く、消耗した。
 最後の黒部川渡渉地点は、橋が壊れてしまっていた。朝、ダムを歩いている時にこの橋を見て心配していたのではあるが、いざこの橋を見ると、愕然としてしまった。でも渡らなくてはならない。最初の半分はともかく恐る恐る渡った。折れ曲がった橋は滑り台の様に黒部川に落ち込んでいて恐ろしかった。残りの半分は、もう「橋」ではなく、破壊された材木の堆積になってしまっていたので、浅瀬を歩いた。
 対岸にたどり着いてホッとしたものの、今度はバスの最終時刻が迫っていた。
「いざとなればタクシーを呼ぶさ」とは言ってみたものの、できたらバスで帰りたい。急斜面をキックステップで登った。夏なら長いだけでどうと言うことのない登りだが、全面雪壁になってしまっていてこの直登はきつかった。
 やっと登り切って、バスに間に合うことが分かった途端、力が抜けてしまった。
 後は文明の利器に任せて、扇沢まで運んで貰った。

広い! でも、楽しいカールはすぐに終わってしまった。
   
ノドを過ぎてデブリの中を滑る
当初の予定の大斜面。ここを滑るつもりだった。
ハシゴ段乗越の向こう遙かに白馬岳
内蔵助平からのハシゴ段乗越。
ここから デブリとの戦いが始まる。
黒部川出合付近。こんな所を延々と下った。デブリの大きさが、人間との対比で分かるだろう。

 

 


●コースタイム

■コース・タイム

写真 四方すすむ / 記録 四方すすむ

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